高齢者の腰椎圧迫骨折のリハビリ[太田市 デイサービス リハビリ]

群馬県太田市の理学療法士による個別リハビリ専門デイサービス「グッドデイズ太田」の指出です。

 

以前に50代以降が悩む自覚症状の1位は「腰痛」だとお伝えしましたが、人口1000人あたり約170人!

10人中1.7人・・・、随分多いですよね。

 

一般的な腰痛の原因は、

①「筋・筋膜」身体や背骨を安定させるための筋肉・筋膜

②「椎間板」背骨と背骨の間のクッション

③「椎間関節」背骨と背骨をつないでいる関節

④「仙腸関節」骨盤の後ろ側の関節

 

もう少し上の年代の方(特に女性の方)は、上記の腰痛に加え、骨が弱くなることによって「腰椎の圧迫骨折」を起こしやすく、さらに、上記の腰痛がプラスされている方も多くいらっしゃいます。

50代の方々と比べて、割合も高くなっていると、(個人的に)思います。(調べていなくてすみません)。

 

⑤「腰椎圧迫骨折」

診断は、痛めた状況や痛みの確認をし、レントゲンで潰れ具合を確認します。急性のものかどうかは「MRI」で判断されます。

治療は、コルセットができるまでは安静臥床。コルセットが完成したらコルセットを着用し起き始めます。骨が弱くなって起こった圧迫骨折はおおよそ4週間程度着用します(骨折の程度に応じて期間は変わってきます)。

潰れ具合がひどかったり、破裂した状態になっている場合は、ギプスを巻いたり、手術をする場合もあります。

まれに、骨折な治らず(偽関節)、しばらくコルセットが外れない方、しばらく経った後で手術になる方もいらっしゃいます。

 

安静に寝ていたり、コルセットをしたり、患者さんには「腰背部の安静」という意識ができてしまいます。痛みがあるので余計ですね。痛みがあるときに「運動しよう!」と思われる方は少ないと思います。

 

コルセットの必要以上の着用は、体幹部の筋肉(腹筋や背筋)の弱化を招いてしまいます。

 

コルセットの着用には少し注意が必要ですね。

 

必要以上のサポート(保護)は、本来持っている機能を低下させてしまいます。

 

腹筋は弱くなり、背筋は硬くなります。立つ姿勢、歩く姿勢は、前屈みになり、お尻が後ろで出てしまい、お尻の筋肉にも力が入らなくなってしまいます。それでも動くときはバランスをとるため、踏ん張りやすい足の筋肉を無意識に過剰に使ったり、両手に力を入れて何かにつかまって動きます。

 

過剰に力の入った部位は、硬くなりやすく、いずれ「痛み」へ変わってくる場合があります。

 

悪循環ですね・・・

 

では、どうすればいいでしょうか?

 

圧迫骨折後のリハビリは、単なる「腰の骨の骨折」とするのではなく、「安静による負の影響」を考慮する必要があります。

 

骨が治ったら終わりではありません。

 

周りの関節や筋肉も痛みを出す原因となります。

 

動かないことにより、足も硬くなります。

 

圧迫骨折後に起こりうるであろう運動機能の低下を整理すると、

 

・背筋の硬さ

・腹筋群、臀筋群(お尻)の弱化

・脊椎の動きが硬くなる

・下肢(足)の関節の硬さ

・下肢の筋肉の弱化

等となります。

 

これらを改善しないで、無理な筋トレや運動を繰り返すと、「かばった動き」が完成してしまい、「正常な動作」に戻ることが難しくなってしまいます。

 

個人的には痛みが強い状態で前傾姿勢での無理な歩行練習を行うのは控えめにしておいた方がいいと思います(動かないのがいいというわけではなく、無理のない動作から始める必要があります)。

 

「かばった動き」は、偏った局所に負担をかけ、「骨折」とは直接関係のない部位の痛みへと移行してしまいます。

 

「かばった使い方」で動けるようになってくるので短期的には良くなった感じがしますが、あくまでも他の部位に負担をかけた「かばった使い方」ですので長期的にはあまり良くない場合がほとんどです。

 

「腰の骨折」ですが、問題は「全身」に及んでいます。

 

腰椎圧迫骨折後の効果的なリハビリのポイントは、

 

・圧迫骨折以外の腰痛の原因を探る

・過度の安静を取らない(最初は安静が必要)

・コルセットを着用しているところ以外(特に下肢)の筋肉の柔軟性を改善させる

・時期が来たらコルセットを外せるように、身体(背骨)を支える身体の中心部の筋肉を十分に使えるようにしておく

・下っ腹を敷きしめ、姿勢を正し、身体全体を使う運動をする(全身のできるだけ多くの筋肉を連動して使えるように)。立つ、歩く際は、お尻が後ろに引けた状態にならないように。

・コルセットが外れたら、痛みのない範囲で、背骨の動きも改善させる

・痛みに応じて、どんどん動く(姿勢や動き方が崩れるようであれば無理はしない)

 

過度の安静は、「痛みの悪循環」に陥りやすくなるばかりでなく、廃用症候群や要介護・支援状態へのきっかけとなってしまう場合がありますので注意が必要です。

 

しかし、負担が強すぎても痛みが治まらず、結果、活動量が低下してきてしまいます。

 

この「ちょうどいい」範囲を、判断するのが、ひとつの難しさではありますが・・・

 

経験上は、「痛みに応じて」が一番早くよくなる印象ですが、「痛い」からやらないではなく、どこが痛いのか?骨?筋肉?関節?原因をしっかりと特定し、「痛み」を軽減させるためのリハビリをしっかりと行うことが肝要です!

 

寝ていたがために、足首がかたくなり、姿勢が崩れ、いつまでも腰にかかった負担が減らず、痛みも残ってしまうという場合もあります。

 

関係なさそうですが、「足首」の状態を改善しないとよくならない「腰痛」もあります。

 

いわゆる「病名」で判断するのではなく、その方の状態をしっかりと捉えることが大切ですね!

 

不安な方は、かかりつけの先生やリハビリの担当者に、「ご自身の状態」や「ご自宅でできるリハビリ」などを聞いてみてください!

 

お一人で悩まれている方は、私まで「お問い合わせ」をいただければと思います。

 

では、簡単ではありますが、以上で終わりにさせていただきます。

 

いつも長々とすみません。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

骨粗鬆症による脊椎椎体骨折(こつそしょうしょうによるせきついついたいこっせつ)

日本整形外科学会が発行しているパンフレットです。ご参考にしてください。

 

より具体的な方法等がお知りになりたい場合は、大変お手数ですが、この記事に対してコメントをしていただくか、お問い合わせフォームよりメッセージをお願いします。

 

 

2 Responses to “高齢者の腰椎圧迫骨折のリハビリ[太田市 デイサービス リハビリ]”

  1. 産後骨粗鬆症による腰椎骨折を昨年起こしてしまい、5ヶ月間硬性コルセットと安静をしていました。コルセット着用4ヶ月目くらいからは吐き気や倦怠感、腰のだるさで苦しましたが、整形外科の先生は最低6ヶ月はコルセットしなければならない方針。コルセットを外してからは酷い腰痛に苦しんでます。現在コルセット外して2ヶ月半、重症腰痛にも対応してもらえる鍼治療にこまめに通っています。
    整形外科の先生は「こんなわずかな圧迫骨折なら運動で治る」と慢性腰痛の苦しさには理解してもらえずです。
    鍼治療のおかげでかなり酷い時よりはマシになりましたが、まだまだしなりのない棒のような状態で、腰痛倦怠感は続いています。

    • M様
      産後の腰椎圧迫骨折ということですが、長い期間の腰痛は身体だけでなく精神的にもきつい状況ですね。
      痛みが残り大変ご苦労されていると思いますが、「痛み」の原因を探る必要がありそうですね。
      筋肉、関節、神経、骨(骨折自体)・・・
      「わずかな圧迫骨折」とのことですが、骨折の治り(癒合)はどうなのか?
      精査はMRIですが、コルセットを外す前のレントゲンで問題がなかったのであれば、圧迫骨折以外の原因、安静・固定による2次的な原因を探る必要がありそうです。
      産後ですので、骨盤も緩んでいるでしょうし、安静・固定にて筋肉だけでなく、背骨の関節や骨盤の関節、下肢の筋肉や関節にも影響が出ている可能性が高いと思われます。
      また慢性的とのことですので、自律神経のバランスが崩れ、痛みを助長している可能性もあります。
      原因や治療の方向性を間違えると、いつまでたってもゴールにたどり着かないだけでなく、悪化をしてしまう場合もあります。

      ハリ治療も良いかとは思いますが、慢性的になるほど問題は複雑になってしまいますので、もう少し全身の状態を加味して診てもらえるところで、「原因」を探ってもらえるとよいかと思います。

      我々、理学療法士は基本、医療機関にいますが、全国には、独立開業されている「業界では名の知られたセラピスト」がいますので、大まかな地域(都道府県)を教えていただければ、紹介させていただきます。
      実際に状態を確認できないのではっきりとしたことが言えず申し訳ありません。

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