高齢者に多い大腿骨頸部骨折のリハビリ【太田市・デイサービス・リハビリ・理学療法】

群馬県太田市の理学療法士による個別リハビリ専門デイサービス、グッドデイズ太田の指出です。

本日は、ご高齢の方に多い大腿骨頸部骨折のリハビリについて説明させていただきます。

デイサービスの利用者さまをお話しをしていると、骨折すると、もう歩けなくなっちゃうという風にいっておられる方が非常に多いです。

しかし、きちんとリハビリを行えば、大腿骨頸部骨折で歩けなくなることはほとんどありません。

 

パート①

大腿骨頸部骨折

 

リハビリをされている患者さま・利用者さまでも非常に多い疾患のひとつです。

大腿骨は骨盤にはまるところ(股関節からすぐのところ=大腿骨頸部)で曲がっています。人間はその曲がった大腿骨で体を支えていますが、曲がったところは転倒や転落の時に外力が集中しやすく、骨折しやすいのです。

この骨折は骨がもろくなったご高齢の方に多いことで有名ですが、日本では年間10数万人が受傷し、多くの方が骨折を契機に寝たきり、閉じこもりになってしまうので社会問題となっています。

同じ大腿骨頸部骨折といっても、関節の中で折れる場合(大腿骨頸部内側骨折)とそれよりもう少し膝側の関節の外で折れる場合(大腿骨頸部外側骨折)の2つに分けて治療の計画が立てられます。

頸部内側骨折は、骨粗鬆症がある場合、ちょっと脚を捻ったぐらいでも発生します。よくあるのは高齢者が何日か前から足の付け根を痛がっていたが、ある時に急に立てなくなったというエピソードです。おそらく立てなくなった時、骨折部で“ずれ”が生じたのでしょう。
一方外側骨折は、明らかな転倒・転落で発生します。

両者の大きな違いは、内側骨折は血液の循環が悪いため骨がつきにくい、その一方、関節内のため周りにスペースがなく内出血も少ないことに比べ、外側骨折は骨はつきやすいが、受傷時の外力も大きく、内出血もするため全身状態に影響が出やすいということです。

 

治療としては、

骨折がひどくない場合は手術をしないで保存的に加療する場合もありますが、多くの方は、手術をされます。

関節内の骨折の場合は、ズレがあまりなければピンで固定、ズレが大きければ人工骨頭という人工の骨に入れ替えます。

関節外の骨折の場合は、髄内釘と呼ばれる金属を骨の中に入れ固定したり、金属のプレートを当てて固定したりします。

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リハビリは、

 

早い方は、手術後、翌日から体重を乗せる練習や歩く練習をしたりしますが、多くの方は、手術後、1週間たったら体重を乗せたり、歩く練習を始めます。

 

リハビリのポイントとしては、手術後は痛みが強い方が多いので、痛いところ以外の身体の調整を中心に愛護的に行います。術後早期の痛みを伴いながらの筋トレや歩く練習は控えめにしておいた方がよいでしょう。股関節だけを意識するのではなく、あくまで、全身の中で股関節を捉えるようにしてリハビリを行っていきます。痛みを伴うリハビリを続けていると、脳が痛みに敏感に反応するようになってしまい、力も抜けず、その後のリハビリがうまく進まなくなってしまいます。

 

ご自身でできることは、足首を動かす練習(深部静脈血栓症の予防)や足の指を動かす練習などから始め、痛みが治まってきたら徐々に股関節を動かす練習や膝の筋肉を使う練習をしていきます。

*筋トレや立つ練習、歩く練習をご自身やご家族と始める前は、担当の理学療法士に相談してから(指示があるとは思いますが)行いましょう。

 

最初が肝心ですね。

 

あそこを鍛えて、ここを鍛えて、と言っても、関節の動きが出ていない(硬い)状態では、うまく筋肉も働きません。まずは、関節が大きく動くようにすること(可動域を拡大)が大切です。

 

もちろん、どの方向にも動くようにするのがいいわけですが、なかでも、股関節の伸展(足を後ろに伸ばす)が重要です。足が後ろに伸びないと、その時点で普通に歩くのは難しくなります。

 

無理なリハビリは、患者さまを歩けない状態、もしくは、徐々に痛みが出てきてしまう状態にしてしまいかねません。

 

経験上ではありますが、無理をしてやるよりも、痛みに応じてやっていく方が、結果、早く歩けるようになります。

 

ケガした足をかばうような動作を無理に続けていると、「間違った動き方」が出来上がってしまい、修正が難しくなってしまいます。

 

そして、その「間違った動き方」が、徐々に、負担がかかっているところに「痛み」を出してしまいます。一時的に、動けるようにはなりますが、徐々に動くのが大変になってきてしまう方というのは、こういう方が多いと思います。

 

理想は、正しい動作を獲得(股関節だけでなく身体全体を調整する必要があります)。

関節や筋肉の持病をお持ちの方で、どうしても正しく動くということが難しければ、負担のかかる部分をケアし続けることが必要となります。

この負担のかかる部位を放置すると痛みにつながってしまいます。

 

今までの経験上ですが、リハビリをすれば大腿骨頸部骨折が原因で歩けなくなってしまう方はほとんど見たことがありません。

 

今は、長く入院は難しい時代ですので、なかなか病院だけでのリハビリで完結というのは難しい面もあるかとは思いますが。

 

介護保険を利用されている方ですと、腰が痛い、膝が痛い、前に脳梗塞をやって半身に後遺症が残っているという方もいるかと思いますので、デイサービスでのリハビリは、まずは、全身の評価、股関節の詳細な評価をさせていただいて、全身の中でうまく股関節が他の関節に負担をかけないように機能するように個別リハビリのメニューを考えていきます。もちろん、日常の生活に則した動作の練習も行っていきます。

 

状態によっては、すぐに結果がでない場合もありますが、どなたにでも改善できる点、改善させる方法があると思っています。

 

再度転んだりしないようにするには、骨折前の120%にするのが理想(100%でケガをしたわけですから)ですので、あせらず、確実にリハビリができるといいですね。

そして、100%を超えるには、股関節だけでなく、全身を調整することが重要です。

 

もし、大腿骨頸部骨折後でお困りの方がいらっしゃいましたら、ご相談いただければと思います。

 

デイサービスを利用する・しないは別として、ご自宅でもできるリハビリをアドバイスさせていただきます。

3 Responses to “高齢者に多い大腿骨頸部骨折のリハビリ【太田市・デイサービス・リハビリ・理学療法】”

  1. 82歳の母が股関節頸椎骨折で手術して現在自宅にいます。
    デイサービスを利用しようと思うのですが、私の地域では、リハビリを中心にしていただける施設がありません。母もリハビリを希望しているのですが、難しいみたいです。
    私や母でもできるリハビリがあれば教えていただけませんか。
    退院後はリハビリをしていない為、筋肉が固くなっているのか、足を痛がっています。母の場合パーキンソン病もかかっていますので、このままでは
    不安です。
    寝たきりにならない為にもリハビリをしたいのですが・・・
    宜しくお願い致します。

    • お問い合わせありがとうございます。
      グッドデイズ太田の指出(サシデ)と申します。

      股関節頚椎骨折 → 大腿骨頸部骨折 ということでよろしいでしょうか?

      骨折手術後、パーキンソン病ということで心配されているお気持ちはよくわかります。

      近隣にリハビリをする施設がないということですが、近くに開業されているクリニック(整形外科)があるようでしたら、理学療法士がいて外来のリハビリをやっている施設が比較的多いと思います。中には、物理療法(機器で温めたり、電気を流したり)だけのところもありますので、何箇所か問い合わせてみてはいかがでしょうか?
      私が関わっている整形外科のクリニックも、近隣の大きな総合病院が外来のリハビリをあまりしていないので、手術後の患者さんが結構きています。

      言葉でお伝えするのはなかなか難しいので、週明けに、「ご自宅で簡単にできるリハビリ」の動画を撮影してお伝えさせていただければと思います。

      もう少しお待ちいただければと思います。

      この度は、お問い合わせありがとうございました。

    • グッドデイズ太田の指出です。

      説明文+動画を載せさせていただきましたので、ご参照ください!

      ご自宅でできる簡単なリハビリ方法

      パーキンソン病もお持ちということですので、身体全体の柔軟性を改善できるとより痛みの改善、動作の改善につながると思います。

      ご不明な点がありましたら、再度、お問い合わせ(電話でも結構です)をお願いいたします。

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