「足がピリピリする」「お尻から太ももの裏が痛くて歩けない」・・・。こうした「坐骨神経痛」や「下肢のしびれ」に悩む方は非常に多く、「日常生活の質」を大きく下げてしまう原因となります。
1. そもそも「坐骨神経痛」とは何か?
まず知っておいていただきたいのは、坐骨神経痛は「病名」ではなく「症状の名前」だということです。頭痛や腹痛と同じで、何らかの原因があって引き起こされる「サイン」に過ぎません。
坐骨神経とは?
坐骨神経は、腰から出て足先まで伸びる、体の中で最も太くて長い末梢神経です。
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太さ: 小指の太さほどあります。
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通り道: 腰(腰髄)→ お尻(梨状筋の下)→ 太ももの裏 → 膝の裏(ここで分岐)→ 足先。
この長い経路のどこかで神経が圧迫されたり、炎症が起きたりすると、その先に「痛み」や「しびれ」が現れます。
2. 下肢のしびれを引き起こす「4大原因疾患」
腰痛を伴うことも多い、代表的な4つの疾患を解説します。
① 腰椎椎間板ヘルニア(20代〜40代に多い)
背骨の間にあるクッション(椎間板)の中身が飛び出し、神経を圧迫する病態です。
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特徴: 前かがみになると痛みが増す、重いものを持った時に発症しやすい。
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症状: 片側の足に強い痛みやしびれが出ることが多いです。
② 腰部脊柱管狭窄症(60代以上に多い)
加齢により背骨のトンネル(脊柱管)が狭くなり、中の神経が圧迫される病態です。
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特徴: 間欠性跛行(かんけつせいはこう)。しばらく歩くと足がしびれて歩けなくなり、少し休む(前かがみで座る)とまた歩けるようになるのが最大の特徴です。
③ 腰椎すべり症
背骨(腰椎)が前後にずれてしまうことで、神経を圧迫します。
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特徴: 長時間立っているのが辛い、腰を反らすと痛む。
④ 梨状筋症候群(筋肉由来)
お尻の深いところにある「梨状筋」という筋肉が硬くなり、その下を通る坐骨神経を締め付けてしまう状態です。腰自体には異常がないこともあります。高齢になってくるとお尻の筋が「弱く」「薄く」「硬く」なり症状が出やすくなります。
*原因がひとつとは限りません。
デイサービスを利用される年代の方では、「腰部脊柱管狭窄症」が多くなりますが、「梨状筋症候群」も合併している場合もあります。2つ以上の疾患が合併している場合は、「症状」がどの疾患が出ているのかを鑑別する必要があります。
注意が必要なのは、MRI等で「腰部脊柱管狭窄症」と診断されているが、坐骨神経痛の原因が「梨状筋症候群」であったりする場合です。
本当に手術が必要なのか、リハビリで改善できるものなのか、主治医や担当の理学療法士とよく相談されることをおすすめします。
3. 【セルフチェック】鑑別診断の方法
自分がどのタイプに近いか、医療現場でも使われるテストを簡易的に紹介します。
※無理をして痛みを悪化させないよう注意してください。
| テスト名 | やり方 | 陽性の意味 |
| SLRテスト | 仰向けで膝を伸ばしたまま片足を上げる | 30〜70度で足に激痛が走ればヘルニアの疑い |
| ケンプテスト | 立った状態で斜め後ろに体を反らす | 足に響くような痛みが出れば狭窄症・すべり症の疑い |
| K-ボンネットテスト | お尻の筋肉を伸ばすように足を内側に捻る | お尻から足にしびれが出れば梨状筋症候群の疑い |
あくまでスクリーニング:これらのテストは医師による診断を補完するものであり、確定診断にはMRIやレントゲンが必要です。
強い痛みは中止:検査中に強い痛みを感じた場合は、すぐに中止してください。
1ヶ月以上続く場合:症状が長引く場合は、早めに整形外科を受診してください。
*あくまでもご自身で確認できる方法です。診断を確定させるには、MRIまどの画像診断なども踏まえ、医師の判断が必要となります。
4. 整形外科での検査と治療
検査方法
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レントゲン: 骨の並び(すべり症など)を確認。
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MRI: 神経の圧迫具合、椎間板の状態を詳細に確認(最も重要)。
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神経学的検査: 筋力低下や感覚の鈍さを確認。
治療のステップ
まずは保存療法(手術しない治療)が基本です。
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薬物療法: 神経の痛みに効く薬(リリカやタリージェなど)や、血流を良くする薬を使用します。
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ブロック注射: 神経の根元や痛みのポイントに直接麻酔薬を打ち、炎症を鎮めます。
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手術療法: 排尿・排便障害が出ている場合や、筋力低下(麻痺)が著しく日常生活が困難な場合に検討します。
5. ご自宅で簡単に行えるリハビリ
痛みがある程度落ち着いてきたら、再発防止と症状緩和のために体を動かしましょう。
疾患別:やって良い動き・悪い動き
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ヘルニアの方: 「猫背」はNG。腰を丸める動作を避け、下っ腹に力を入れて胸を張るような姿勢を意識します。
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狭窄症の方: 「反り腰」はNG。腰を反らすと神経の通り道が狭まるため、少し前かがみの姿勢が楽になります。ただし腰背部に負担がかかり「腰痛」が起きやすくなります。
梨状筋(お尻)のストレッチ
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仰向けに寝て、片方の膝を立てます。
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もう片方の足を、立てた膝の上に乗せます(数字の「4」の字を作る)。
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立てている方の太ももを両手で手前に引き寄せます。
神経の動きを滑らかにする「神経スライディング」
神経は本来、体の中で数ミリ単位で動いています。癒着などで動きが悪くなった神経を、優しく動かしてあげる運動です。
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椅子に座り、両手を後ろで組み、猫背のように背中を丸めます。
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【ステップ1】 顔を下に向けながら、しびれる方の膝を伸ばします。
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【ステップ2】 顔を上に向けながら、伸ばした膝を曲げます。
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この「顔を下・膝を伸ばす」「顔を上・膝を曲げる」を交互に10回繰り返します。
※神経を無理に引き伸ばすのではなく、「体の中で神経をスライドさせる」イメージで行ってください。
*グッドデイズ太田でのリハビリでは、理学療法士が症状に合わせて、ストレッチや神経モビライゼーションを中心とし、全身の調整にて腰背部に負担のかからないような姿勢や動作への修正を図っていきます。
6. 日常生活で「絶対に」気をつけるべき3つのポイント
リハビリを頑張っても、残りの23時間で負担をかけていては意味がありません。
① 「座り方」の黄金ルール
坐骨神経痛にとって、座り姿勢は腰への負担が立位の約1.4倍にもなります。
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NG: 浅く腰掛けて背もたれにふんわり寄りかかる(仙骨座り)、足を組む。
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OK: 骨盤を立てて、深く座る。膝の高さが股関節と同じか、やや低くなるように椅子の高さを調整してください。クッションを腰の後ろに入れるのも有効です。
② 「持ち上げ方」の工夫
重いものを持つときは、腰だけで曲げないのが鉄則です。
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パワーポジション: 必ずしっかりしゃがみ込み、荷物を体に密着させてから、「足の力」で立ち上がります。わずか数センチの密着の差が、腰への負担を激変させます。
まとめ
下肢のしびれや坐骨神経痛は、「もう年だから」「体質だから」と諦める必要はありません。正しい診断と、適切なリハビリを行えば、多くの場合で症状は改善します。
特に、「急に足に力が入らなくなった」「尿が出にくい」といった症状が出た場合は、緊急を要するサインです。すぐに整形外科を受診してください。
グッドデイズ太田は、利用者にも多い、腰部脊柱管狭窄症や梨状筋症候群などによる坐骨神経症状の改善にも力を入れております。
坐骨神経痛や足のしびれでお悩みの方は、ぜひ、グッドデイズ太田にご相談ください。





